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[ こころの風景 ]

雨の多いアイルランドで、めずらしく晴れ渡った午後
潮風に誘われて坂道を降りていった。

そこには、静かで、真っ平らな悠然とした海が横たわっていた。 自然は鏡のように、その印象が素直に心に映し出される。

人の世の煩わしさを忘れさせてくれる風景のなかで
自分の存在を肯定している自分がここにいる。

あなたがこんな風景に出会う機会があれば
海のとなりで寝そべるといい。

そして五感のすべてをつかって記憶してみる。
ゆっくりと静かに刻む波音や、潮の香り、そして、暖かい陽光に包まれている自分のことを。

もし、あなたの人生が困難な壁に遮られ、心が萎え、ひとり冷たい雨に打たれているような気持ちになったとき、静かに目を閉じ、あの海の記憶を想い出してみるといい。

辛く寂しい思いをしていようが、あなたの傍には
あの悠然とした海が横たわっている。


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