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ダイエット

危険なダイエットとは

肥満はさまざまな成人病の原因となります。
肥満を解消するためには、食事と運動が大きなポイントになります。
しかし、最近は健康よりも美容上の目的でとくに若い女性を中心として、きわめて危険なダイエットが行われています。

これが医学的に正しいダイエット法だ!

肥満は食事と運動量の関係から生まれる

肥満の95%は、食べ過ぎに運動不足が重なった単純性肥満です。
これを除いたもの、つまり、病気のために太った状態を症候性肥満と呼びます。
多くの肥満は、食事と運動量のバランスによってあらわれます。
肥満になるのは、次の3つです。

(1) たくさん食べて運動量が普通
(2) 普通に食べているが、運動量が不足している
(3) たくさん食べて、しかも運動が不足している場合

摂取するエネルギー(食事など)に比べ、消費エネルギー(運動など)が少ない場合、余分なエネルギーは皮下脂肪などの脂肪組織に変化し、体内に蓄積されます。この脂肪がある1定以上を超えると、肥満になります。つまり肥満は、食事と運動量のきわめて単純な足し算、引き算で起こるものなのです。

肥満の目安になるのが、体に蓄えられている脂肪の割合です。
これを体脂肪率といいます。体脂肪率は測定器で簡単に図ることができますが、測定器がない場合には、次の2つの方法で調べることができます。

<肥満の目安>

標準体重=(身長−100)×0.9
肥満度=(体重−標準体重)÷ 標準体重 ×100%

この計算により、±10%以内なら正常、10〜20%以内で太り気味、
20%以上だと肥満。

2つめの方法は、BMI(BODY MASS INDEX)の値を求めるもの。
最近は、こちらの方法で表すことが多くなっている。BMIは次の式で算出する。

BMI=体重(kg)÷(身長=m)2

平均は、21〜22。これが25以上だと肥満。30以上だと高度肥満。
例えば、体重65Kgで身長が170cmの人の場合は、BMI=65÷(1.7)2 で、
BMIは、22.50。正常ということになる。

肥満になると体にこれだけの負担がかかる

では、なぜ肥満はいけないのでしょうか。
結論を先にいいますと、人間の体は、もともと、肥満に耐えられるように設計されていないからです。そのため肥満は、内臓や血管、代謝系、ホルモン分泌、関節や骨格、骨など、人間を構成しているほとんどの部分に負担をかけ、重大なトラブルを引き起こすきっかけを作ってしまいます。

1台の、500ccのエンジンを載せた軽自動車があるとしましょう。それに1000ccのボディを乗せるとどうなるでしょう。エンジンは心臓です。心臓はボディに合わせて大きくなり、性能もそれに比例するというものではありません。心臓のサイズも能力も変わらないのです。

過度に重いボディを乗せたエンジンは、フル回転で能力以上の働きを強いられます。
ガソリンやオイルの圧力も高まり、せっせと燃料を運びます。パイプも破裂寸前です。
タイヤもサスペンションも、重いボディに四苦八苦。パンクするかサスペンションが壊れるか、時間の問題。肥満とはまさにこのような状態をいうのです。
事実、機能検査を行うと、肥満の人の肺、心臓、肝臓、腎臓、関節には、普通の人よりも過度に負担がかかっているのです。

体重が増えると血圧も上昇する

肥満性高血圧症と呼ばれるものがあります。これは、肥満を解消するだけで血圧が正常に戻る高血圧症です。体重が4kg増加すると、収縮期血圧は20ミリ上昇するといわれています。なぜ、肥満になると血圧が上昇するのでしょうか。

原因の主なものは中性脂肪です。体内で消費しきれなかった糖質や脂質などのエネルギー源は、中性脂肪として蓄えられます。余った中性脂肪は、血液の中にも入り込みます。これまで、サラサラとしていた血液に中性脂肪が加わるだけですから、これだけで血圧は上昇します。ドロドロとした血液を送る血管もたまったものではありません。血管の内側には脂肪分が付着し内径は細くなり、そこに圧力が加わった血液がなおも強制的に流れてきます。こうなると血管は弾力性を失い動脈硬化を起こし、結果としてさらに血圧が上昇することになります。

動脈効果と高血圧症の危険性があり、さらに脳梗塞、脳血栓、脳出血、クモ膜下出血、心筋梗塞、狭心症、糖尿病などの重大な病気を引き起こす可能性があるのは前に述べたとおりです。

肥満が関係している病気は想像以上に多い

肥満というと、体の皮下脂肪の沈着、ぜい肉(脂肪)がつく状態をイメージしがちですが、そればかりではないのです。体の中にある臓器、肝細胞、心臓の周囲や血管壁にも脂肪が付着してしまうのです。むしろ目に見えないだけに、こちらの方が怖いのです。

このように肥満は直接、間接に私たちの体に悪影響を及ぼします。肥満の主な原因は、「体質と食べ過ぎ」です。若いときは新陳代謝も活発なために、少々の食べすぎで太るということはあまりありません。
しかし、中年以後になると話は別です。代謝も衰え、消費エネルギーも少なくなります。

ところが、このような年代はとかく美食傾向になり、運動不足になって、脂っこいものを好んで食べるようになります。これでは、ますます太りやすくなるというわけです。肥満を予防することは、成人病そのものを予防することにつながります。このことを、ぜひ自覚したいものです。
参考までに、肥満が引き金になってあらわれる病気を列挙してみましょう。痛風、脂肪肝、肝硬変、胆石、胆嚢炎、慢性腎炎、外科手術合併症、出産合併症など・・・・・・。
肥満が関係している病気は想像以上に多いのです。

間違ったダイエットは命を落とす

肥満を解消するためにダイエットを行います。しかし困ったことに、最近はとくに若い女性を中心にして、単に“やせる”ためだけの危険なダイエットが横行しています。
その結果として、過食症、拒食症(神経性食欲不振症)などの症状を訴える方も少なくありません。
拒食症の場合は、“激やせ”を伴い、生理が止まるなど、体に重大な障害を残します。
精神的にもダメージを受け、回復するのに苦労するケースも目立って増えているのです。
ハッキリといいます。間違ったダイエットは命を落とします。
ここでは、正しく安全なダイエットについて考えてみましょう。

水分を取り除いてもダイエットにはならない

安全で効果的なダイエット法を「医的ダイエット」と呼ぶことにします。

ダイエットの目的は「脂肪を取り除く」ことです。「体の水分を取り除く」のではありません。サウナなどでいくら汗をかいても、水分しか抜けません。それでは、水を飲めば元に戻ってしまいます。つまり、水分を減らして、一時的に体重を落としても意味がないのです。

大切なのは体の脂肪を燃焼させ、減らすこと。体の脂肪は、運動することでしか減りません。他のいかなる方法も、1度ついてしまった脂肪を減らすことはできないのです。
もう1度いいます。つまり、脂肪は運動でしか減らないのです。
1+1=2 1−1=0。

ダイエットというのは、体についた余分な脂肪の引き算なのです。
ダイエットはまた、単なる美容上の“痩身”のためのものではありません。やつれたり、体調を崩すことなく、きれいに正しく脂肪を取り除き、ベストウエイトを達成すること、それが「医的ダイエット」の目的なのです。

往診実例 【医的ダイエットを目指せ!】

どうすれば産後の体重はもとに戻るの?

妊娠中に太っていたのが、出産後もとに戻らないというケースは多いようです。妊娠時には、胎児を体内で育てるために太ることがある程度必要です。しかし、赤ちゃんのためと思い、栄養をとりすぎて太りすぎるのも感心しません。

余談になりますが、赤ちゃんを産むと妊娠線ができます。これはお腹の皮下組織が裂けたもので、必要以上に太りすぎたためにできるものです。妊娠しても体重の増加を10kg義内に抑えておくと、妊娠線はできません。妊娠中だからといって太りすぎは、やはりいけないのです。

さて、岡山さん(仮名・32歳・主婦)は、
「2人目の子供を産んでからお腹のたるみがへっこまず、現在、身長は155cm、体重は59kg。いろいろなダイエットを試しましたが結局、効果なし」ということでした。さっそく往診に出かけてみることにしました。

岡山さんは、もともと高校時代から太る傾向にあって、暗い青春を送っていたのだそうです。やせようと思っていたのですが、「やせないうちに、何とか結婚できて」2人のお子さんを出産しました。ところが、出産後「お腹だけが出てきてしまってボヨヨ〜ン」という感じになったのだそうです。
彼女はさまざまなダイエットを経験してきたのだそうで、キッチン用フィルム(サランラップやクレラップなど)を巻いて寝たり、プロテイン(たんぱく質)を飲んでみたり、はては健康痩身磁気ベルトまで買い求めましたが、残念ながら、そのすべてが効果なし。
そこで私のところにお便りをくれたというわけです。

さまざまなダイエット法を検証する

涙ぐましいダイエットの歴史です。せっかくですので、彼女の試みたダイエットを
「医的ダイエット」の立場から簡単に、その有効性について検討してみましょう。

岡山さんは最初に、キッチン用フィルムを巻いて寝るダイエットに挑戦しました。
ズバリいって、これはダイエット効果はありません。汗が出るために気分はよかったようですが、水分が出るだけで全然脂肪は減りません。水を飲めばまた元に戻るのです。
プロテインにもチャレンジしたようです。しかし、プロテインでは脂肪は溶けないのです。

アメリカで一時、プロテインだけをとるダイエットが流行しました。ところが、不幸なことに「液体プロテイン事件」というのが起きてしまったのです。栄養不足による心臓発作などで、わかっているだけで60名以上の人が突然死しました。
プロテイン・ダイエットというのは、このように危険なものです。
このほか、リンゴ、ハチミツ、ゆでタマゴ、ハトムギ、パイナップルなど単品のダイエットは栄養が偏り、危険であることがはっきりしています。

次に健康磁気ベルトですが、磁石で脂肪が溶けるというのなら、発電所に勤めているおじさんたちは、みんなダイエットに成功しているはずです。いや、必要な脂肪まで溶けちゃっているかもしれません。

やせるお茶は利尿作用があります。しかし、これは脂肪まで溶かしてくれるわけではありません。脂肪を溶かしてくれるお茶は、存在しません。

以上、あげたさまざまな方法は、ダイエットとしてはまったく意味がないことがわかります。つまり、水分を除くので体重は少しくらい軽くなるかもしれません。しかし、脂肪分はまったく減らないのです。

こうすればあなたの余分な脂肪がわかる

いちばん問題なのは、体の中に脂肪がどの程度あるかということです。これを計るのが「体脂肪計」です。いまデパートなどで簡単に手に入ります(4万円くらい)。体重計と同じ要領で体脂肪率が測定できるのです。

女性の標準的な体脂肪率は「20〜25%」
男性の標準的な体脂肪率は「15〜18%」

女性では30%、男性では20%を越えると、「肥満」になります。
体脂肪率から余分な脂肪を割り出す計算方法は、次のとおりです。

(体脂肪率−肥満の基準になる体脂肪率)÷100×体重

例えば、体脂肪率25%の男性なら、25%−20%=5% この男性の体重が80kgとすれば、80kg×0.05=4 で、4kgが余分な脂肪となります。

岡山さんの体重は58kg。体脂肪率は27%でした。肥満とはいえませんが、女性の標準的な体脂肪率の初期値の20%に落としたい。そうすると、27%−20%=7%。体重が58kgですので、58kg×0.07で約4kg です。すなわち、岡山さんの場合、減らすべき脂肪は4kgです。これは、大型のペットボトル2本分の脂肪に相当します。
肥満は摂取エネルギーと消費エネルギーの関係で決定します。

A正常・・・
摂取エネルギー(食事)2000キロカロリーに消費エネルギー(運動)2000キロカロリーであれば2000−2000で差引0。つまり余分なエネルギーは0になります。

B大食・・・
摂取エネルギー(食事)3000キロカロリーに消費エネルギー(運動)2000キロカロリー。つまり余分なエネルギーは1000キロカロリーです。

C運動不足・・・
摂取エネルギー(食事)2000キロカロリーに消費エネルギー(運動)1000キロカロリー。余分なエネルギーは、この場合も1000キロカロリーです。

D大食と運動不足・・・
摂取エネルギー(食事)3000キロカロリーに消費エネルギー(運動)1000キロカロリー。余分なエネルギーは2000キロカロリーということになります。

いっぱい食べて運動量が普通なら太り、普通に食べても運動量が不足すれば太る。さらに、いっぱい食べて運動不足ならもっと太るというわけです。岡山さんはDタイプのようです。ということは、運動を多くして、食事を少なくしなければなりません。

体脂肪を1kg減らすためには、7200キロカロリー消費する必要があります。これはフルマラソン3回分の運動量に相当します。しかし、私たちにとってフルマラソンなどは到底無理。そこで歩くことにしましょう。
1日1万歩です。これですと200〜300キロカロリー消費できます。30日で6000〜9000キロカロリー。フルマラソン3回分のカロリーを消費することができるわけです。多少サボったとしても体脂肪を1kgほど消費できます。これを4ヵ月続けると4kgの脂肪が取れる計算になります。

食事について考えてみましょう。いくら運動をしてもそれ以上にカロリーを取ってしまえば元も子もありません。実は岡山さんには、以下のことをお願いしました。

残り物の整理はほどほどに。もったいないといって食べていると、太る原因になります。
脂っこい洋食を避け、和食を中心に。
夜、寝る前には食べない。夜食症候群といって、体脂肪としてより蓄積されやすくなるのです。
食事は腹八分目。

1度に4kg減らそうと思わずに、1ヶ月1kg減らすと、4ヶ月で4kg経るというふうに考えましょう。「継続は力なり」なのです。

ダイエットを成功させるコツは

「リンゴ・ダイエット」は、実はダイエットとして有効です。こう書くと誤解されるかもしれませんが、別の意味で本当なのです。というのは、何かをする達成しようとする場合、いくら人からこれがいい、あれはダメと言われたところで、本人が納得しなければ何もなりません。その方法が自分にとって最良である、と信じる心が何より目標達成の原動力になります。つまりモチベーション(動機付け)が大切なのです。
極端にいえば、それが「リンゴ・ダイエット」であれば、それでいいのです。
しかし、ここまで読んでこられた方なら盲目的に「リンゴ・ダイエット」のすべてを取れ入れることはしないはずです。「医的ダイエット」にしたがって、「リンゴ・ダイエット」のいいところを、安全なダイエットのプランの中に組み入れてくれるのではないでしょうか。

もし、効果があったのなら、その人にとってその方法がベストなのです。
「リンゴ・ダイエット」が、気功や瞑想に代わってもいっこうにかまいません。
心と肥満とは深い関係があります。自分のベストな方法を感じてください。
あくまで「医的ダイエット」をベースにしながら、それを信じて、実行してください。そうすれば、あなたのダイエットは成功するはずです。


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