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腹痛

痛みは異常を伝える貴重なサイン

急にお腹が痛みだしたけれど、トイレにかけこんだら治ってしまった。こんな経験はだれにでもあるものです。

この程度の痛みならいいのですが、なかには病気が隠れている「危ないお腹の痛み」も少なくありません。少々の痛みだからと言って長期間、我慢するのは禁物。どのような病気もそうですが、素人判断ほど危険なものはありません。

「痛い」のはだれでも嫌なもの。しかし、痛みは体からの注意信号。痛みがなければ体のどこが調子が悪いのか、判断することはできません。このように痛みは、病気や体の異常を私たちに教えてくれる貴重なサイン。見逃さないようにしたいものです。

お腹の痛みには重大な病気が隠されている

ショック状態になっているお腹の痛みは、すぐに救急車を

お腹の痛みは、頭痛などと同じようにだれもが経験するものです。ほとんどの腹痛は、しばらく様子をみたあとで、お医者さんに行くかどうか判断してもさほど問題はありません。しかし、緊急を要するのもあります。

「急性腹症」という言葉があります。これは読んで字のごとく、急に起こったお腹の病気全体を指す言葉です。一般的に急性腹症は、突然、激しい痛みにおそわれます。続いて、嘔吐、冷や汗、高熱、顔面が蒼白になる、などの症状があらわれます。これはすぐに検査をし、場合によっては手術が必要です。
このような時には、迷わず救急車を呼んでください。通常は内科ですが、もし、ショック状態(血圧が下がってしまうこと)に陥っていて、意識が低下しているようなら、直接、外科に向かってください。時間に手間どると、生命に危険が及ぶからです。

腹膜は、お腹の臓器を包んでいる袋状の膜。ここに炎症が起こると、腹膜炎になります。急性腹症の代表的なものは、お腹にある臓器が破れてしまうことで起こる急性腹膜炎です。虫垂炎、十二指腸潰瘍、胆嚢ガン、急性膵炎、膵臓ガン、胃ガン、大腸ガンなどにより、腸や胆嚢、膵臓などが破れてしまうのです。また、女性の場合は、卵巣嚢腫や卵巣の茎部がねじれて急性腹症を起こすこともあります。また、狭心症、心筋梗塞、肺炎、ヒステリーなど、腹部以外のトラブルが原因となることもあります。
いずれにしても、急に起こった激しいお腹の痛みは、病院に行ったほうがよいでしょう。

痛みを正しく伝えるための5つのポイント

さて、急を要する腹痛のあとは、いわゆる一般の「お腹の痛み」について考えてみましょう。チェックリストのところでも書きましたが、ひとくちにお腹が痛いといっても千差万別。感じ方は人それぞれによって違います。痛みを伝える表現も、実際的には、個人によってまちまち。痛みの表現は、なかなかに難しいものです。

しかし第3者、とくにお医者さんには正確に伝えなければなりません。質問されたとおりに答えればいいわけですが、なかには“ヤブ?”医者が混じっているかもしれません。

そこで、
(1) どこが痛いか(痛みは移動するか)
(2) いつから痛いか(前触れはあったか)
(3) どんなときに痛いか、あるいは、1日でいちばん痛い時間はいつか
(食事の前後はどうか)
(4) どんな痛みか(さしこむような痛み、針で刺すような痛み、脈打つような痛み・・・・・・)
(5) 痛みにともなってどんな症状が起きたか(熱、吐き気、尿の状態、、血尿かどうか、
尿量は多いか少ない、便の状態、便秘か下痢かなど)
など、きちんと説明することが大切です。

「食欲不振で食べ物の好みが変わった」は要注意

お腹の痛みについて、1つひとつ検討していくことにしましょう。

【症状1】
お腹がへってくると、みぞおちが痛くなる

【解答】
食事と腹痛には密接な関係があります。質問のように“お腹がへってくる”、つまり空腹時にお腹が痛いというのは、まず、胃の下部の胃潰瘍、十二指腸潰瘍を疑ってみる必要があります。食事中・食後の痛みは、食道炎、急性胃炎、急性膵炎、過敏性大腸炎など。食後2〜3時間後に痛む場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、慢性胃炎など。
とくに、チクチクと痛むのは、胃潰瘍の可能性が考えられます。中年以上の方は、年に1回は胃の検査を受けるようにしましょう。

【症状2】
このごろどうも食欲不振で、食事の好みも変わってきた

【解答】
ストレスや疲労が蓄積されている場合に、起こりやすい症状です。胃が重い、張る、どことなく違和感があり、不快である。同時に、胸焼けなどの自覚がないのにもかかわらず、口臭があり、あくびが出る。これらの症状は、胃炎、胃潰瘍に共通してみられるものですが、胃ガンの早期の症状もこれと似ています。やっかいなのは、胃ガンです。この場合、かなり進行しないと腹痛などの自覚症状がないからです。かつて日本は、胃ガンの多い国として有名でした。現在でもガン死亡率の中で、胃ガンはトップです。しかし、死亡率は確実に減り、早期発見の場合は、95%が治るまでになりました。

【症状3】
吐き気といっしょにお腹も痛む

【解答】
腹痛の箇所、痛みの種類(さしこむような痛みか、キリキリと痛むのか、持続する痛みかそうではないか、など)、またそれに伴う症状によって違います。食中毒、胃炎、胃潰瘍、幽門狭窄、膵臓ガン、慢性腹膜炎、急性肝炎、肝臓ガン、肝硬変、横隔膜下膿瘍、胆嚢結石、総胆管結石などを一応、疑ってみる必要があります。

【解答4】
わき腹の痛みが内股に抜け、血尿も出る

【解答】
激痛があり、痛みが内股や陰部へ抜け、血尿が出るというのは、腎結石、尿管結石の疑いがあります。すぐに内科(あるいは泌尿器科)に行き、適切な診断を受けてください。ところで、血尿というのは、目であきらかにわかるものと、そうではないものがあります。肉眼では異常がなくても、顕微鏡で見ると血尿である場合があるので、注意が必要です。

【症状5】
脂っこいものを食べると、右の上腹部が痛く、背中のほうまで痛む

【解答】
激痛、吐き気、嘔吐、発熱を伴うようなら、急性胆嚢炎、胆石の疑いがあります。

【症状6】
オシッコをすると下腹部が痛い

【解答】
排尿時に激痛が起こり、尿道へ抜けるような痛みがあるなら、尿道結石、膀胱結石、あるいは膀胱炎かもしれません。

【症状7】
コールタールのような黒いウンチが出る

【解答】
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、あるいは胃ガンの可能性もあります。胃や十二指腸から出血すると真っ黒な便になります。一方、大腸や直腸、肛門、痔からの出血は鮮血便になります。

【症状8】
急にお腹が痛くなる。とくにみぞおちが痛い。背中が痛い。痛みが長びく。飲んだり食べたりするたびに痛い。吐き気がするのに吐いてもおさまらない

【解答】
急性膵炎の疑いがありますが、そのほかの検査も必要です。狭心症でも同じような症状が出ることもあります。

【症状9】
少し力をいれてお腹を押すと痛い

【解答】
消化管の病気以外に肝硬変の疑いもあります。いずれにしても、痛みだけで素人判断をするのは危険です。お医者さんの診断をあおいでください。

【症状10】
下腹部が激しく痛み、生理でもないのに出血する(女性)

【解答】
卵巣嚢腫の茎捻転(卵巣をくっつけている茎がねじれること)、子宮外妊娠の疑いがあります。女性だけに起こる腹痛の代表的なものが、卵巣嚢腫の茎捻転、子宮外妊娠の2つです。どちらも激しい痛みを伴い、生命にかかわるもの。場合によっては、膣からの出血が激しく、ショック状態になることもあります。安静にしてすぐに救急車を呼んでください。またどちらの場合も、虫垂炎と間違うケースもあり、注意が必要です。
いろいろな「お腹の痛み」について、チェックリストを中心に説明してきましたが、問いの1〜10は、すべて専門医の診断を受けてみる必要があります。このような症状があらわれたら、まず病院に行ってみることにしましょう。

とくに気をつけたい「みぞおち」の痛み

お腹が痛いという症状の多くは、消化器系の何らかのトラブルによるものが多いものです。そのほか、泌尿器系、心臓病、女性では婦人科系の病気も考えられます。ここでは簡単に、痛い箇所がどこによって、どのような病気が考えられるのかをご説明しましょう。

・みぞおちが痛い
みぞおちの痛みは、腹痛の中でもとくに気をつけなければならないものです。食事との関係については、【症状1】のところで説明しましたので省略します。ここでは激痛と鈍痛に分けることにしましょう。
激痛を伴うお腹の痛みで(左肩の方へも痛みが走る)、吐き気、冷や汗を伴うなら心筋梗塞、ショック状態になるなら潰瘍穿孔。鈍痛なら、胃炎、胃下垂、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などです。体重が減っているようなら胃ガンを疑ってみる必要があります。

・右上腹部の痛み
黄疸、発熱を伴うなら、急性肝炎。さしこむような痛みなら胆嚢炎、胆石などが考えられます。疲れやすく、いつも体がだるいようならアルコール性の肝炎。押して痛みがあるなら、肝硬変の可能性もあります。

・へその周辺の痛み
激痛、嘔吐、張り、便秘気味で腸がなるようなら腸閉塞、腸捻転の可能性があります。

・左上腹部
激痛を伴うようなら、急性膵炎。この場合、痛みが右上腹部に及ぶこともあります。左上腹部が痛み、体重が減っているようならガンを疑うことも必要です。この際、背中に痛みを伴うなら膵臓ガン、血便が出るようなら大腸ガンの可能性があります。

・右下腹
胃の中のものを吐いてしまったり、そうではなくても、むかつきや吐き気をもよおしたり、また熱が出るなどの症状を伴うなら急性虫垂炎。下痢を伴う場合は、過敏性腸症候群、グルグルというようなら急性大腸炎の疑いがあります。

・下腹部全体の痛み
血尿、さしこみがあるなら腎結石、尿管結石、下痢・便秘を伴うなら大腸憩室、女性で激痛があるなら、子宮外妊娠、卵巣嚢腫の破裂や卵巣嚢腫茎捻転、月経困難症などの可能性もあります。

・下腹部全体の鈍痛
血尿が出たり、オシッコの回数が多くなったりしているのなら膀胱炎。女性なら卵管炎、卵巣炎。発熱していれば、骨盤腹膜炎を疑う必要もあります。

・お腹全体の痛み
張りがあり悪心、吐き気、激痛を伴うなら、腹膜炎、腸閉塞の可能性があります。下痢・発熱を伴うと、食中毒による急性腸炎。腹部全体に鈍痛が広がるようなら、慢性腹膜炎、ガン性腹膜炎の疑いがあります。


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