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高血圧

死因のNo1は血管の病気

私たちは中学校の理科の時間に「オームの法則」というのを習いました。電流に抵抗を掛け算すると電圧になる。 つまり、

電流 × 抵抗 = 電圧

というものでした。人間の血圧も同じ考え方です。

心臓の拍出量 × 末梢血管抵抗 = 血圧

というわけです。なぜ、血圧が高いと、あるいは低すぎるといけないのか。 このことについてはのちほど説明しますが、ここでは”血圧の大部分は血管に関すること(血圧≒血管)”である、 というふうに覚えておきましょう。
日本人の死因のベスト3は、(1)ガン、(2)心臓病、(3)脳血管障害です。
しかし、このうち(2)と(3)は血管に関する病気。
つまり両者をプラスすると1位のガンよりも多いことになるのです

高血圧は体全身の病気!

高血圧症を簡単に考えると危ない

まず、高血圧を考えるときに大切なポイントを1つお教えしましょう。それは、
「高血圧症は全身の病気である」
ということ。つまり、高血圧症とは、心臓や胃・肝臓などの特定な臓器の病気とは異なる病気なのです。 私たちの体には、血管が網の目のように張りめぐらされています。この血管をとおして、 酸素や栄養を体のすみずみの細胞に送っています。 同時に、細胞の活動によって産みだされた老廃物や炭酸ガスを回収し、排泄する働きを担っています。
このように考えるとわかりやすいかもしれません。 血管を道路、血液をトラックにたとえてみましょう。 道路(血管)は、首都から高速道路が全国に伸び、地方都市の幹線道路から一般道路、 そして町や村を結ぶ細い道路へというふうに、全身の器官や組織(地方都市、町、村)をネットしています。
トラック(血液)は、行きには市町村が必要とする生活物質(栄養や酸素など)を運び、帰りには廃棄物やゴミ(廃棄物)を 回収して戻ってきます。

血圧が高い原因を探る

ところで、この道路(=血管)が通りにくかったり、破損しているとしたらどうでしょう。 トラック(血液)はそれ以上先には進めなくなり、渋滞したり、あるときは道路から飛び出したりします。 その結果、町や村(=器官)に、必要な物質(栄養や酸素など)が行き渡らず、同時にまた、ゴミ(老廃物)の 回収さえとどこおります。 このような事態になると、町や村の機能はマヒし、ある場合には、町や村そのものが死に至ることさえあるわけです。 高血圧症の人は、まさにこの状態にあります。
血圧が高いということには、さまざまな原因がありますが、結果的には、心臓の心拍出量(トラックの数)が多いか、 末梢血管抵抗が大きく(道路が通りにくく)なっているかのいずれかである場合がほとんどです。 例えば、片側3車線あった道路(血管)が1車線になったとしたらどうでしょう。 トラック(血液)は当然、渋滞してしまいます。
このような渋滞が、脳で起こると脳梗塞、脳血栓、心臓なら心筋梗塞、腎臓なら腎不全、 脳の渋滞した道路からトラックがはみ出してしまえば、脳出血ということになります。 いいかえれば、血圧というのは、道路状況の大きな指標なのです。さらに血圧が高いままだと、 道路状況はしだいに悪化(動脈硬化などが進行)し、3車線から2車線、1車線、さらに片側通行になり、病気は進行します。 また、道路状況が悪化すれば、血圧もさらに上がるわけです。 だからこそ、血圧を測ることが大切なのです。

血圧が上昇する3つの原因とは

血管は道路ですが、この道路が普通の道路と違うところは、自分から道路状況に応じて車線を増やしたり、 減らしたりして、効率のよい通行量をキープしている点です。 実際の血管も、それ自身、内腔を広げたり縮めたりしながら末端の血管に血液を運んでいます。 心臓は収縮を繰り返すポンプのような役割を果たしていますが、道路(血管)、トラック(血液)との関係でいえば、 さしずめトラックを送りだす配車センターです。 したがって、血圧が上昇する3つの原因は、

(1) 配車センターの制御機能が狂い、トラックを必要以上に発車させ、
  交通量を多くしている場合
 −心臓が過度に収縮する(ホルモン異常など)

(2) 道路が狭くなっても、車線を増やすことが困難な場合
 −血管が固くなり、うまく収縮・拡張できない(可塑性の減少、動脈硬化など)

(3) 道路が1車線や片側通行しかできなくなった場合
  −(コレステロール、中性脂肪などの付着)

または、これらが複合して血圧は上昇します。
いわゆる高血圧症というのは(2)と(3)、なかでも動脈硬化と関係するものが多いのです。この関係は、 ニワトリが先かタマゴが先かといったようなものです。

高血圧は心臓、脳、肝臓に障害を及ぼす

よく血圧が高い、低いといいますが、どのように判定するのでしょうか。
ここではWHO(国際保健機構)の 基準を紹介しておきましょう(単位はmmHg)。

・正常 − 収縮期血圧 140以下 拡張期血圧 90以下
・境界域高血圧 − 収縮期血圧 141〜159 拡張期血圧 91〜94
・高血圧 − 収縮期血圧 160以上 拡張期血圧 95以上

心臓が収縮するときには、血液が強い勢いで押し出されます。したがって、血圧は高くなります。 反対に心臓が拡張するときには、血液の流れがゆるやかになり、血圧はもっとも低くなります。 前者を収縮期(最大)血圧、後者を拡張期(最小)血圧と呼びます。 一般に「上のほうの血圧」「下のほうの血圧」というのが収縮期血圧、拡張期血圧にあたります。
高血圧が原因となって起こる障害の代表的なものは、部位でいうと、心臓、脳、腎臓の大きく3つに分けられます。
心臓の障害として多いのが、狭心症、心筋梗塞、心不全など。脳の障害は、脳出血、脳梗塞など。腎臓の障害については、 尿を排泄する機能が失われる腎不全。さらに老廃物が体を循環してしまう尿毒症などがあります。

成人病は自分がつくる病気。だから自分で治せる

まず高血圧症の症状について感単位説明しておきましょう。
高血圧症の症状には、

(1)脳神経の症状として、頭痛、目まい、耳鳴り、視力障害、手足のしびれなどがあります。
(2)心臓にあらわれるのは、動悸、息切れ、胸の圧迫感など、
(3)腎臓では多尿、頻尿など、
(4)全身にあらわれる症状としては、全身倦怠、疲れやすい、食欲不振などがあります。

重大なものは別として、多くの高血圧症の場合、日々の生活の改善、あるいは薬とライフスタイルの改善で 十分に対応できるものです。
食生活との関連でいえば、血圧は塩分のとりすぎと関係があると、よくいわれますが、そうではないという説もあります。 しかし、できることなら塩分を控えた方がいいでしょう。 日本人は、塩辛いものが大好きという方が多いものです。みそ汁も辛め、漬物も大好物。ソバやウドンの汁も残さず食べる。 お酒も大好き。飲みすぎることも多い。まず、このような食生活を改めることが肝心です。 つまり、外でラーメンやカツ丼を食べるときには、まるで塩のかたまりを食べているように思えるくらいに、 塩分の制限が必要です。
お酒も1日に1.4合(ビール大びん2本)に抑えます。
それができてから初めて、どの薬を使用するのか検討することです。
高血圧症は、成人病の代表的な症状です。いわゆる成人病というのは、年齢的な問題もさることながら、 生活環境=ライフスタイルに起因することが多いもの。 偏りのない栄養、疲労やストレスを残さない休養、適度な運動、つまり、まともな生活をしていれば予防が可能なのです。 言葉をかえれば、成人病は自分でつくった病気です。ならば、自分で治すことができるはず。
あなたのライフスタイルをもう1度見直してみてはいかがでしょうか。


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