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このごろ何となくイライラしています。休日でも子供のころのようにスッキリした気分になれません。まわりのみんなもいろいろな事にイライラすると言っています。これはしょうがないことなのでしょうか。


だれでも毎日を笑顔でおくりたいと思っています。しかし多くの人がいつのまにか「イライラ脳」になってしまい、人生ってこんなものだと悟ってしまう(=あきらめてしまう)のではないでしょうか。

ここでは自己チェックから始めて、イライラ脳の原因を理解し、そしてイライラ脳にさよならする方法をお教えしましょう。

■まえがき

家事や仕事、近所付き合いと毎日を過ごす中で、ふとイライラしている自分に気づくことがありませんか?

夕食の用意をしたのに、夫が「今日はいらない」と連絡してくる。朝になって子どもが「このプリント、今日までなの」と出してくる……など、思い通りにいかないことは多々あるでしょう。

生活していれば、こういうイライラすることは起こります。でも、仏頂面で毎日を過ごしていると、自分自身でも嫌になってきますし、あなたに接する家族や友人も楽しくありません。イライラしているなと思ったら、早い段階で対処するのが得策です。

それに、イライラというと、何か悪いことのように思われますが、必ずしもそうではありません。イライラするというのは、ストレスを受けていますという、心や体の不調を訴えるサイン。むしろ問題なのは、イライラを無視したり、無理に抑え込もうとして悪感情を引きずり、新たなトラブルを引き起こしてしまうことなのです。

自分の感情に振り回されないように、イライラの原因とメカニズムを知り、きちんと対処しましょう。そうすれば、毎日を機嫌よく過ごすことができます。

■ あなたのイライラ度をチェック!

当てはまるものはいくつありますか?

孤独な感じがする
早足で歩いて、早口で話す
寝付きがあまりよくない
ちょっとしたことでカッとなる
仕事や家事で手一杯で、充実感がない
家族のことで悩みがある
言いたいことが言えない
最近、アルコールの量が増えた
頭痛、肩こり、だるさなど体に不調がある
周囲に悪口を言われている気がする

◎ 診断結果
0〜3個… 大丈夫。毎日楽しく過ごせているでしょう。
4〜6個… 注意信号。イライラが軽いうちに対処を。
7個以上… かなり重症。回りにもイライラが伝わっています。

■どうしてイライラするのか
理由がわからず、イライラしてしまうことがあります。原因はあの人のせい? それとも体の不調?
ズバリ解明します。

<< イライラしてしまう原因って? >>

● 精神的要因

相手が理解してくれない、思い通りにいかない、したいようにできない、問題解決ができない、深刻な悩みがある、不安、葛藤
● 身体的要因

肩こり、不眠、冷え、頭痛、肌荒れ、だるさ、便秘、むくみ、動悸、痒み、食欲不振、息苦しさ

実は女性は35歳を過ぎると、イライラすることが多くなります。その原因は、女性ホルモンの減少などによるホルモン・バランスの崩れ。それによって体の不調が起こり、知らず知らずのうちにイライラしてしまうのです。

一方、精神的要因として最も多いのは、コミュニケーションが上手くいかないことです。自分の思いを伝えられなかったり、会話不足などで「分かってもらえない」と感じたときに、落ち込んだり、イライラしてきます。

年を重ねるにつれて女性ホルモンは減っていき、家族や周りとの関係はマンネリ化していく……。このことから考えても、イライラしてしまうのは仕方がないことなのです。イライラする自分を責めるのではなく、まずは「そうなって当たり前なんだ」と受け止めてあげましょう。

<< イライラしているときの脳って? >>

脳の働きはコンピュータの仕組みと同じように、「入力→計算→出力」という流れになっています。

「入力」は五感で感じることであり、得られた情報が脳へと送られ、脳がその情報を「計算」、つまり判断して体に命令を出します。そしてその命令が筋肉によって「出力」され、話したり、物を書いたりするのです。

イライラしているときというのは、入力と計算ばかりで、出力=行動ができていない状態。例えば「夫が育児を手伝ってくれない……。どうして?」と思っているのに、それを夫に伝えられていないという状況です。出力のない思考を続けていると、イライラを生むばかりか、悪い思考回路が強化されてしまいます。

思考の堂々巡りから抜け出すためには、勇気を出して素直に自分の思いを伝えたり、行動に映すことが必要なのです。

● ワンポイント1:女性がおしゃべりなのは!?
男性に比べ女性が話し好きなのは、脳の違いによるものだと考えられます。人間の脳は中央で左右に分かれていて、女性は主に言語能力を司る左脳が、男性は主に感覚的能力を司る右脳が大きくなっています。そのため、女性はコミュニケーションが思うようにとれないと、イライラする傾向があります。

● ワンポイント2:生理中は脳が男性脳に!

女性ホルモンは1ヵ月の間に増えたり減ったりしていますが、一番低下するのが生理中です。ホルモンの分泌が減ると、言語能力に長けた女性脳が、男性脳に変化してしまいます。つまり、普段は流暢に話せるのに、生理になると言葉がうまく出てこなくなるのです。生理中にイライラしやすいのは、脳の変化も関係しているのです。

■ イライラをしずめる4つの方法

時間がたてばイライラが収まることもありますが、できれば早く解消したいもの。そこで、イライラから脱出するための方法をご紹介しましょう。

(1) 普段と行動を変えてみる

イライラから抜け出せないときは、考え方がワンパターンになっているので、思考を変えるために普段と違う行動をとってみましょう。心と体はつながっているので変化が表れます。

行動を変えると言っても、大げさなことでなくて大丈夫です。例えば、お風呂にいつも右足から入るなら、左足から入ってみる。シャンプー剤を変える。こんな些細なことでも普段とは違う行動ですから、劇的にとは言わないまでも、思考にも変化があります。

駅まで行くのにちょっと回り道をしてみたり、買い物する店を変えてみるのもよいでしょう。気分が変わるのはもちろん、いつもと違う環境に身を置くことで、何か新しい発見をするかもしれません。新しい情報は脳によい刺激を与えます。

行動と共に思考が変わり、イライラが押さえられると、「それほど深刻な問題ではなかったかな」と思えたり、解決策を考える余裕も出てきます。

(2) 楽しいことを思い出す

脳を前向きモードに素早く切り替えるには、アルバムを見るのがおすすめです。アルバムを開くと、心は楽しかった時代へしばしタイムスリップ。マイナス感情を頭から切り離すことができます。

思い出は視覚だけでなく、聴覚からも引き出すことができます。ある曲を耳にした途端、思い出がフラッシュバックしたという経験がきっとあるでしょう。懐メロや青春時代のヒットソング集が人気なのは、幸せだった頃、輝いていた自分を思い出すことができるからなのです。

また、五感の中でも直接記憶に結びついているのが、嗅覚と味覚です。イライラしたら、子どもの頃によく食べたものを口にするのもよいでしょう。懐かしい味が、あなたの心を満たしてくれるはずです。

このように、五感を使って脳に入れる情報を自分でコントロールすれば、イライラから脱出することができます。

(3) スキンシップをする

アロマテラピーやフットバスなど、街には、"癒し"商品があふれていますが、究極の癒しと言えば、スキンシップです。

"タッチセラピー"という言葉もあるように、触れ合いは癒しなのです。イライラしたら、スキンシップで心の安定をはかりましょう。相手は夫や子どもだけでなく、ペットでも大丈夫です。

家族とのスキンシップは、イライラを鎮めるだけでなく、絆を深めるきっかけにもなります。日頃から手をつなぐ、抱きしめる、肩を揉んでもらうなど、様々な方法で触れ合う機会を持っておきましょう。

(4) "and" の発想をする

物事が思うように運ばずイライラしているときは、「自分はこうしたい。でも《but》、それができない」というふうに考えがちです。けれどもこれでは、鬱憤がたまるばかりです。

そこで、《but》の部分を《and》に変えてみましょう。自分の現状を「でも」と否定するのではなく、「そして」と肯定するのです。例えば「私は自分の時間がほしい」という後に、「でも、忙しい」ではなく、「そして、忙しい」と続けるのです。そうすれば、自分の願望も、忙しいという状態も、どちらも受け入れることになります。

少し表現を変えるだけで、気持ちはとてもラクになるでしょう。うまくできないときは、頭で考えるだけでなく、声に出して唱えてみてください。

■人はいつでも幸せを感じられる

イライラしているときの自分を振り返ってみると、「私のことを分かってくれていない」という、他人への欲求であったことに気づいた人も多くいるのではないでしょうか。

イライラの原因を他人のせいにしたり、環境のせいにする人も増えていますが、他人のせいにしてもほとんどの場合、事態は好転しません。他人と過去は変えられないので、自分が変わるしかないのです。その勇気を持てたとき、イライラが消えていることも、また確かなのです。

人というのは、つい、あれもこれもと求めるクセがあります。それが飛躍すると、「マイホームがなければ駄目」「夫が出世してくれないと幸せになれない」などと、自分で勝手に幸せの枠をどんどん狭くしてしまいます。

けれども、脳科学的に言えば、幸福感は、脳の中のホルモンの働きによるもので、すべては自分の脳が作り出しているもの。言い換えれば、どんなときでも、どんな状況でも人間は幸せを感じられるということです。これは、人間に与えられた最大の能力でもあるのです。

生きている限り、イライラすることは必ずあります。でもそれを引きずるのではなく、さっと対処していつも笑顔の絶えない女性でいる。それこそが、幸せを感じられる自分になるための第一歩です。

すぐそばにある幸せに気づくためにも、ぜひ、自分を上手にコントロールする術を身につけて、イライラから解放されてください。

※引用 掲載誌 PHP 2008年4月増刊号 (c) PHP研究所




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