◇一定の間隔でくり返される
前の記事では、首の動脈硬化(正式には「頸動脈硬化症」と呼ぶ)が起こると、初期の自覚症状として、めまいや立ちくらみ、片目の視力低下などが現れると述べました。
首の動脈硬化がさらに進むと、それとは違った自覚症状も現れてきます。
その代表ともいえるのが耳鳴り。例えば、静かな夜に寝床に入ったとき、ザーッ、ザーッという音が聞こえてくる場合は、首の動脈硬化が起こっている可能性があります。人によっては、ジーッ、ジーッと、セミの鳴き声のように聞こえることもあるようです。
頸動脈(首の動脈)は枝分かれが多いのが特徴。そのため、頸動脈の血管内では、血液が血管壁にぶつかったり、血管の分岐点で渦を巻いたりしています。頸動脈がつまってくれば、血液が狭い血管を無理に通ろうとして、血管壁に強く衝突したり、血管の分岐点で激しく渦を巻いたりするようになります。それによって、頸動脈で振動が発生します。
首は耳に近いため、その振動が鼓膜に伝わって、雑音のように聞こえるのだといえるでしょう。
首の動脈硬化が進むにしたがって、耳鳴りは、徐々に大きくなり、長く続くようになります。静かなザーッ、ザーッという音から、シューッ、シューッと、まるで蒸気機関車の蒸気音のような音になることもあります。
耳鳴りには、老化や疲労など、ほかの原因によって起こるものもあります。耳鳴りがしても、必ずしも首の動脈硬化やつまりが起こっているわけではありません。ただし、首の動脈硬化による耳鳴りは、血流によって発生するため、脈拍に応じた一定の間隔で、ザーッ、ザーッといったぐあいにくり返されるのが特徴。耳鳴りが首の動脈硬化によるものかどうか、見分けるさいの参考にするといいでしょう。もちろん、くわしいことは医師に調べてもらってください。
首の動脈硬化が進行すると、前の記事で紹介した手足のしびれ、舌のもつれといった症状が頻発し、しかも、長く続くようになります。
そのほか、首の動脈硬化による症状としては、しつこい後ろ首のこりもあげられるでしょう。首の動脈硬化が起こると、首のまわりの組織への血流が低下します。そのため、首の筋肉では、酸素や栄養が不足し、二酸化炭素や老廃物がたまって、こりが起こるのです。頭痛や吐きけなどの症状を伴うこともあります。
首の動脈硬化を防ぐには、生活習慣の改善が重要です。食生活では、食べすぎをひかえ、野菜を中心とした、栄養のバランスの取れた食事を心がけてください。ウォーキングなどの適度な運動も、定期的に行うといいでしょう。
※引用 夢21 2007年8月号掲載記事 (c)わかさ出版 |