人間の脳は、より多くの情報を処理するため、物事を整理して考えるようにできているのだとか。つまり、人間は次に起こることを予測しながら生きているわけです。その予測を超えた事態に直面したときに起こる反応が『驚き』なのです。
●驚きはどこから感じる?
生理反応としての「驚き」と深くかかわっているのが、脳にある扁桃核。扁桃核は大脳辺縁系にあり、五官(目、耳、鼻、口、皮膚)から入ってきた刺激が身の危険にかかわるものかどうかを判断します。
例えば、大きな犬が突然、目の前に飛び出してきたとき、驚くと同時に逃げる体勢をとるのはこの扁桃核の指令によるもの。
もうひとつ重要なのが、脳幹から大脳辺縁系、側頭葉を経て前頭連合野に伸びる『A10神経』です。驚きという刺激に対して、この神経が『快感』と判断すると、いい意味での驚き、つまり感動が生まれるんですね。ただ、同じ『驚き』という刺激でも、快・不快の判断にはかなり個人差があるようです。
●驚きにはどんな効果があるの?
型にはまった考え方を正し、柔軟な思考を身につける効果があります。
脳は、効率よく情報を処理するため事象を単純化して論理的に考えようとします。けれども人生は、そんな公式には当てはまらないことの連続。論理的な思考だけでは解決できない問題も多々あります。そういう型にはまった思考パターンを、いい意味で壊してくれるのが『驚き』です。予想外の刺激を絶えず受けることは、どんな事態にも臨機応変に対応できる、脳の柔軟性を身につけることにも役立つのです。
●驚きやすい人と、驚きにくい人に差はあるの?
突然大きな音がして驚くのは誰でも同じ。ただ『驚き』が『感情』へと派生していく過程には、かなりの個人差があります。それらを"どう感じるか"は、その人がこれまでどのような感受性を形成してきたかで異なるのです。
※引用 Happy Life 2007 Spring 2007年3月10日発行 (c)株式会社マガジンハウス |