くも膜下出血はいまだに大変な病気です。心中お察し申し上げます。
多くは、脳動脈瘤が破裂して起こります。その場合約半数の方が直接亡くなるか、手術不能の状況になってしまいます。
運良く、脳外科にたどり着いた方が手術適応となります。
手術は、脳動脈瘤を小さなクリップでつまんでくる、あるいは、血管内手術というもので、カテーテルを使って動脈瘤の中に血管コイルを詰めてくるというふたつになります。
お父さんの場合、おそらくはクリップを使った手術をなさったのだと思います。
手術はあくまでも再出血を防ぐものです。動脈瘤は一時的に出血を止めているだけで、動脈瘤の先端は薄く破れやすい状態のままですから。
つまり、手術は、再度破れるのを防ぐ目的で、今ある症状を取ったり、軽くする目的ではありません。ここらあたりがジレンマの元です。
さて、手術が滞りなく行われたとしても、これから先が厄介な病気です。
破裂後1週間をめどに脳血管攣縮(れんしゅく)ということが起こってきます。これは、くも膜下出血によって、脳の血管がぎゅっと縮んで来ることを言います。原因はまだはっきりとはわかっていません。よって、確実な治療法もありません。
攣縮により脳の血流は低下し、出血とはまったく反対の梗塞が起こり始めるのです。
その程度はさまざまです。麻痺や意識障害、命をなくする方まで出る場合もあれば、まったく症状が出ずにすむ方もいます。
大体2週間まで続きます。くも膜下出血には必ず起こりますが、症状はまちまちということです。
また、2−3週間をすぎてから、水頭症といって、髄液の流れが妨げられ頭の中に髄液がたまってくることがあります。この場合、ゆっくりと意識が低下します。ですからお父さんの場合、すこし違うかなと思います。
もうひとつ、あまり知られていない病気で「Low T3 症候群」というのがあります。心筋梗塞やくも膜下出血などの大病をしたとき、体が代謝を低くして何とか乗り切ろうというものです。(僕の弟子の先生のお仕事です)
この場合は、甲状腺ホルモンの補充で直りますが、これは、慢性期に起こるものなので、これまたなんともいえません。
以上一般論です。あくまでも、主治医の先生にお話を聞かれるのがベストだと思います。
想像から言えば、脳血管攣縮がおこったのかなあとは思いますが、断言はできません。
果たして眼を覚まされるのかどうか、後遺症はどれくらいかというのもあくまでも想像レベルを超えられません。
ですから、早いうちに看護婦ではなく、主治医の意見を聞かれるべきですね。
ご回復を心からお祈りしています。 |