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はじめまして。
実は19歳の弟が今年の1月9日に慢性硬膜下血腫で緊急手術をしました。
一命はとりとめたものの術後の検査で、大きさ3cmのくも膜のう胞が見付かり、夏に手術を勧められています。
今週5日間、髄液の流れを見る為の検査入院をし、その結果髄液の流れが
悪いので、「前と比べて大きくはなっていないが、将来を考えて早いうちに手術をしてはどうか」 と勧められました。
「その手術は危険を伴うので、夏まで経過を見ながら慎重に検討しましょう。」
とのことでした。
5月に又検査に行く予定です。
今の弟はとても元気で普段と変わった様子は見られません。
弟自身も家族もできれば開頭手術は避けたいと思っています。
先生はどう思われますか?教えて下さい。
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弟さんのこと、さぞかし御心配なことと思います。
少し、頭の病気が重なって、混乱されていることが良く伝わります。
少し整理をした方が良いと思います。
慢性硬膜下血腫は小さな外傷によって起こることが多い病気です。
外傷直後には何にもなくて、ゆっくりと血の混じった髄液が脳と骨の間
(詳しく言うと硬膜の外膜と内膜の間)に溜まってくる病気です。
大体受傷後一ヶ月あたりで発生することが多いですが、外傷自体が不明であることも少なくありません。
まれに、その他の原因で起こることもあります。
たとえば、腫瘍や炎症、硬膜の血管異常などがあげられます。
確率的には少ないので、あまりご心配はないと思います。
普通はお年寄りに多い病気で、多くは小さな穴を頭蓋骨に開けて、中を洗浄することで後遺症もなく治ります。 この血液はどす黒く、固まらないと言う性質を持っています。
まれに再発を繰り返したり、痙攣発作を起こしたりすることもありますが、
一般的にはそう問題にならずに一回の手術で完治する病気です。
ですから、慢性硬膜下血腫に関してはあまり心配されなくとも良いのではと思います。
さて、クモ膜のう胞に関してのご質問ですが、この場合は一般論を申し上げるわけにはいきません。 というのも、当の主治医の意見よりも赤の他人の無責任な意見やマスコミの根拠のない意見に、
意外と御家族の方は流されてしまう傾向があるからです。
ここで、僕が「手術をしたほうが…」とか「いやしない方が…」というのは全く無責任です。
ですからここでは、どういう方法で御自身、弟さんが納得できて治療に励むことが出来るかと言うことだけを お伝えします。
実際のCTやMRI、さらに髄液の流れの検査をされているそうですから、あとは主治医の先生とのご相談を まずはなさる方が良いということです。
その時には外来へ急に行って聞くのではなく、あらかじめご予約をされて、ご家族が揃って聞かれるのが 良いと思います。
そして、その時には具体的な問題点・手術をした時としない時の違い・手術による後遺症の問題などを とことん聞かれるといいと思います。
意外となんでもない質問で、納得がいったりすることも多いですから。
さらに、今まで検査された情報を貸してもらって、セカンドオピニオン(*1)を実際に聞きにいかれると いいと思います。
一般的には貸し出しして下さると思います。
もし貸し出しして下さらないようでしたら…。
これは、少し医者を変えた方が良いかもしれませんよ。
セカンドオピニオンだろうが、ファーストオピニオンだろうが、脳神経外科専門医であるならば、 大概は同じ結論になるはずです。
もし一致しなかったら…。
これは少し問題となります。
結論がつかない問題であるか、あるいはどちらかの先生が間違っているか、と言うことになります。 あるいは、脳神経外科専門医でない可能性もあります。
その場合は更にもうひとりの医者に聞かなければなりません。
セカンドオピニオンが主治医の先生と同じなら、後はご家族を含めた弟さんのお気持ちが一番です。
病気に関しての説明に納得できたか。
治療の必要性についての話しに納得できたか。
特に今回の場合のように、症状を出されていないものの場合はちゃんと納得することが大切でしょう。
極論すれば、御自身のお体をどの医者に預けることが出来るか、万一のことが起こったとして どっちが納得できる医者なのかということかもしれませんね。
僕自身は自分が2月に受けた手術の場合、誰にやってもらうのが、もし万一のことがあっても 自分が納得できるかということで決めました。
御心配でしょうが、僕に出来るお話はここまでです。
どうか、勇気を出して、セカンドオピニオンを受けて下さい。
お大事に。
*1セカンドオピニオン
医師の診断や治療法に納得がいかない場合や不安がある場合に
気兼ねをしないで別の医師の意見を聞くこと。 |
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